PMBOKとは?どの現場でも通用するプロジェクトの型を知ろう【第六版】

本記事では、標準的なプロジェクト管理を知識化したPMBOK(ピンボック)の全貌および基本知識と、最後に現場で活用するポイントを説明します。
※本記事で言及するPMBOKは第六版の解説となります。
最新の第七版には未対応のため、その点ご注意ください。

PMBOKの歴史

PMBOKはアメリカのPM学会にて、1987年に出版されました。様々なプロジェクト現場で広く適用できるプロジェクト管理方法を纏める事で、プロジェクトの成功確率を高めようという動きがあったのだと思います。2021年、現在は第六版が出版されています。
アメリカだけではなく、欧米各国や中国、ロシア、また日本語版もあり、世界各国で読了されていることから、世界標準のプロジェクト管理のスタンダードと言っても過言ではありません

因みに、日本では、2003年情報システム導入プロジェクトの成功率は26.7%と言うデータがありました。2018年では52.8%まで上がりました。
PMBOKが普及し、このような成功確率アップに貢献しているのかもしれません。

PMBOKの全貌

PMBOK(第六版)では、プロジェクトをどのような順序で進めていくか(プロセス)を5つに分類。また、どのような観点でプロジェクトを管理するかを10つに分類しています
これを「5つのプロセス」と「10の知識体系」と呼びます。
それぞれについて、どのような手法で管理しくか基本的な概念を解説しているのがPMBOKの全貌となります。

5つのプロセスと10の知識エリア

5つのプロセスと10の知識エリアを図解しました。

 

次にそれぞれについて説明します。

5つのプロセス

①立ち上げ
立ち上げプロセスはプロジェクトを発足の段階です。
プロジェクトの目的や基本的なルールやステークホルダーの特定を行い、プロジェクトの開始を宣言します
具体的なアウトプット文書としては主に、「プロジェクト憲章」となります。

②計画
計画プロセスではプロジェクトの具体的な計画を立てます。
プロジェクトの予算/スコープ/スケジュール/品質目標/リスク等、プロジェクトを運営するために必要な計画を策定する事でプロジェクトの全貌を明らかにしていきます。
具体的なアウトプットは一例ですが、「プロジェクト計画書」を主とし、「WBS」「スケジュール」「リスク対応計画書」など様々です。

③実行
実行プロセスは、計画プロセスで立てた計画に基づいて人材や資源を調達し、タスクを計画通りに実行する段階です。

④監視
監視プロセスでは、「②計画プロセス」と「③実行プロセス」との乖離とそれに対する変更処置を対応します。
具体的には、スケジュールの進捗管理での遅れに対して、人的資源を追加投入するなどといった。実際の状況を監視し、対処を行います。

⑤終結
終結フェーズではプロジェクトを公式に終了するためのプロセスです。

10の知識エリア

①統合管理
総合管理とは、他の9つの知識エリアを取り纏めるという意味です。プロジェクト全体を最適化するために他の9つの変更を管理するといった目的です。

②コスト管理
PMBOKでは、「プロジェクトを承認済みの予算内で完了するための、計画、見積もり、予算化、資金調達、財源確保、マネジメント、およびコントロールのプロセス」となっております。
要するに、プロジェクトの財務を担当する部分です。

③調達管理
PMBOKでは、「プロダクト、サービスあるいは所産をプロジェクトチームの外部から購入または取得するプロセス」となっております。
コスト管理と密接に関わってきますが、プロジェクトで必要なモノ・ヒトをどのように調達するかを管理する部分です。

④リスク管理
PMBOKでは、「プロジェクトに関するリスクマネジメントの計画、特定、分析、対応の計画、対応策の実行、およびリスクの監視を遂行するプロセス」となっております。
実際のプロジェクトでは、リスク管理表といった文書で、プロジェクトのリスクとそれに対する対応策を取り纏めます。

⑤スコープ管理
PMBOKでは、「プロジェクトを完了するために必要なすべての作業を含み。かつ必要な作業のみを含むことを確実にするために必要なプロセス」となっております。
プロジェクトで実施する内容やシステムの範囲を顧客と合意する事が求められます。

⑥資源管理
PMBOKでは、「プロジェクトを完了させるために必要な資源を特定し、獲得し、マネジメントする」となっております。
こちらも、コスト管理/調達管理と密接に関わってきますが、プロジェクトで必要なモノ・ヒトの特定と獲得を管理します。

⑦コミュニケーション管理
PMBOKでは、「プロジェクトとステークホルダーの情報ニーズが、資料の作成と効果的な情報交換を達成するために意図された活動を通して、満たされていることを確実にするために必要なプロセス」となっております。
ステークホルダーとはプロジェクトに対して影響を受ける、利害関係者の事を示します。

⑧スケジュール管理
PMBOKでは、「プロジェクトを所定の時期に完了するためのプロセス」となっております。
要するにスケジュール管理ですね。実際には、アクティビティの定義やクリティカルパスの特定などを行います。コスト管理や資源管理とも密接に関わってきます。

⑨品質管理
PMBOKでは、「ステークホルダーの目的に合致するために、プロジェクトとプロダクトの品質要求事項の計画、マネジメント、およびコントロールに関する組織の品質方針を組み込むプロセス」となっております。

⑩ステークホルダー管理
「プロジェクトの作業に影響を与える可能性のある人、グループ、または組織を特定する、あるいはプロジェクトから影響を受ける可能性のある人や、影響を受けるかもしれないと思っている人を特定するために必要なプロセス」となっております。

PMBOK現場で生かすには?

PMBOKを実際に生かすには下記2つのパターンがあります。

①PMBOKを活用した、プロジェクトマネジメントの実施。
②PMBOKの10の知識体系を活用した、プロジェクト課題の抽出。プロジェクト管理業務として担当する業務の整理。

①については次のようなプロジェクトで活用すると良いでしょう。PMBOKが効果を発揮できます。

・ウォーターフォール型の開発プロジェクト。
PMBOK第六版では、アジャイルに関するプロジェクトについてはあまり言及されておりません。従って、アジャイル開発に適用するのは好ましくありません。

・100人月以上のプロジェクト。
PMBOKは大規模なプロジェクトを管理する手法が記載されており、プロジェクト管理の100人月程度の開発プロジェクト程度でない、あまり効果が発揮できないのではと考えます

②については、どのようなプロジェクトでも活用する事ができます。
プロジェクトの管理項目を10の知識体系に分類し、各分類ごとにプロジェクトの課題を洗い出すことや、各分類ごとにプロジェクトの管理対象を設定する事ができます。
例えば、とあるプロジェクトでは、PMBOKの10の知識体系で今回のプロジェクトでは、「①スケジュール」と「②コスト」、「③品質」を中心にマネジメントします。
よって、プロジェクト管理費用は全体の10%程度に留めます。のような進め方が可能です。是非実際の現場で活用してみてください。

 

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